現在、日本では、やむを得ず妊娠中絶される方が、全妊娠例の20~25%いるといわれています。現在では、術後感染をおこしたり、極端な粗悪な外科的処置をしないかぎり不妊症や、後の妊娠に影響をおよぼすことはほとんどなくなりましたが、やはり、的確な医療機関での処置をおすすめします。
中絶手術を受ける患者様への当院のポリシー
人工妊娠中絶手術で来院される患者様は、ほとんどが、母性ならではの罪悪感や、中絶手術そのものに対する恐怖心、痛みはないのか、将来の妊娠への不安など、さまざまな精神的葛藤やストレスを抱えて来られる方々です。
当院では、多くの中絶手術経験から、危険なく、無痛で、患者様個人のプライバシーを尊重した上で、患者様が先のような精神的葛藤をかかえておられることを理解し、細やかな配慮で、医師、看護師、スタッフ一同、診療してまいります。
過去の手術症例から学ばせていただいたこと
当院では開院以来15年が経ち、多くのことを学ばせていただきました。
子宮筋腫合併、帝王切開既往、円錐切除既往、パニック障害、向精神薬服用、夫以外のパートナーとの間の妊娠、罪悪感に打ちひしがれてこられる女性、親に言えなくて困っている高校生、犯罪が絡む症例、全く言葉の通じない外国人の方、ありとあらゆる方がここに来られました。ご自分で、
麻酔が効かない体質とおっしゃる方も来院されました。麻酔というものも、教科書的に体重x〇〇といった単純なものではなく、筋肉質、やせ、肥満、で投与量は異なりますし、本人の性格やその時の精神状態、向精神薬服用、アトピー体質、大量飲酒者、様々な要因が、麻酔効果に影響を及ぼします。したがって、経験から学んだいわゆる「さじ加減」を重要視し、一人一人の患者様に接しております。麻酔に不安感を覚えてらっしゃる方も安心してご来院ください。
当院で手術不能であった例が3例ありました。巨大子宮筋腫で吸引管が届かない症例、子宮の屈曲が著しく吸引管が挿入できない例、パニック障害が重篤でコミュニケーションがとれなかった症例の3例です。
このような、多くの経験から、施術のスキルの研鑽はもちろんのこと、メンタル面や社会的なバックグラウンド含めた大きな視野で、患者様と接しなければならないのだと、日々痛感しています。一症例一症例細心の注意と心配りをもって、今後も患者様と接していきたいと考えています。