中絶相談・婦人科相談なら大阪梅田の堂山レディースクリニック

コラム一覧>性感染症>潰瘍を伴う疾患について

コラム

潰瘍を伴う疾患について

性感染症

2017.01.04


寒さが続くと、寒冷刺激がひきがねとなって、ヘルペスの患者様の来院が増えます。性器に水疱ができたのち、潰れてびらんないし潰瘍を形成し、激烈な痛みを伴う疾患です。
今回、性感染学会のガイドラインをもとに、潰瘍を伴う疾患に関して、まとめてみました。

性器ヘルペス
初感染:感染2~10日後に、大陰唇、小陰唇、腟前 庭部、会陰部にかけて水疱性病変が多発し、後に破れて浅い潰瘍になる。高熱を伴い、鼠径リンパ節の腫脹と圧痛がみられ、排尿時痛のため歩行困難にもなる。稀に頭痛や頂部硬直などの髄膜刺激症状を伴う。抗ウイルス薬を使用しない場合、2~3週で自然治癒する。  
再発:小さい潰瘍性または水疱性病変が1~数個限局してみられ、症状は初感染と比べて軽い。抗ウイルス薬を使用しない場合1~2週間で治癒する。再発の頻度はさまざまであるが、一般に初感染後、年数とともに減少していく。再発の前兆として、外陰部の違和感や大腿から下肢にかけて神経痛様疼痛を伴うことがある。

梅毒(硬性下疳)
感染後10~30日で感染部位の硬い丘疹が潰瘍化し (硬性下疳)、後に両側鼠径部のリンパ節が硬く腫脹す る。いずれも疼痛などの自覚症状がない。単発が多いがオーラルセックスの場合、多発する。

軟性下疳
軟性下疳は、軟性下疳菌による性感染症(STI)で、性器の感染部位に、痛みの 強い壊疽性潰瘍と鼠径リンパ節の化膿性炎症とが特徴で ある。元来、東南アジア、アフリカなどの熱帯・亜熱帯地方に多く発生している疾患であって、わが国では、終戦後の1945~50(昭和20~25)年の性感染症流行期にときどき見られた。しかし、その後減少をつづけ、 最近では東南アジアで感染してきた患者が稀に見られる程度で、発生頻度は低い。
感染後2~7日で、大陰唇、小陰唇、陰核、腟口部に小豆大までの紅色小丘疹が出現し、中央が膿疱化し、次いで浅い潰瘍になる。次第に、潰瘍は深くなり、辺縁は 鋸歯状で紅暈を伴うが、浸潤は著明でない。灰黄色の被苔を剥がすと出血しやすく、激痛を伴い、自家接種により数を増し、多発してくる。2~3週間後に、約50%の症例で鼠径リンパ節が、多くは片側性に、腫脹してくる。リンパ節は多数柔らかく発赤腫脹し、疼痛は著しく、やがて自潰排膿してくる。

性病性リンパ肉芽腫症
性病性リンパ肉芽腫は,クラミジア性疾患で、一過性の原発性皮膚病変に続いて、化膿性リンパ節炎およびリンパ管炎が起こるのが特徴である。感染後3~12日で、感染部位の腟、外陰、直腸、ときに子宮頸部や咽頭に5~8mm大の紅色丘疹が生じ、後にヘルペス様潰瘍となって数日で治癒する。疼痛などの自覚症状がないために、気づかれないことも多い。その後1~2週間で発熱、全身倦怠感が起こり、深部後腹膜および骨盤リンパ節が腫脹するために、腰痛や下腹部 痛を訴える。鼠径リンパ節の腫脹はみられない。下痢、便秘、下血などの直腸炎の症状を伴う。リンパ流の停滞により最終的に大小陰唇が象皮病様に腫脹し、深い難治性の潰瘍が発生してくる。

鼠径肉芽腫
鼠径部肉芽腫は,肉芽腫カリマトバクテリウムにより引き起こされる性器皮膚の進行性感染症である。感染後1週~3か月、通常2~3週間で、小陰唇、陰唇小帯、会陰部に自覚症状のない易出血性の単発または 多発する結節が生じる。潰瘍化し、潰瘍辺縁は堤防状に隆起し、周囲に拡大する。無痛のため巨大化し、有棘細胞癌と間違いやすい。鼠径リンパ節の腫脹はみられない。

淋菌感染症
感染後2~7日で、多くのものは、症状は軽いが、帯下が増加する。帯下は薄い、または膿性で、少し匂いを帯びる。帯下のために外陰部に掻痒やびらんを生じ、疼痛を伴う。稀に、排尿困難、下腹部痛がみられる。

外陰・腟カンジダ症
腟カンジダ症を伴うことが多い。びらん潰瘍局面状に、粥状、ヨーグルト様の白色被苔が付着する。

腟トリコモナス症
性交渉後10日前後で生じるが、約半数は無症候性。 悪臭のある泡状黄緑色の帯下が増加。帯下の刺激による外陰粘膜に炎症を起こし、白色被苔はない。

帯状疱疹
外陰部の片側の皮膚や粘膜に、神経痛様疼痛が先行または同時に伴う浮腫性紅斑、次いで水疱、潰瘍、痂皮を形成し、2~3週で治癒する。

ベーチェット病
深く鋭い辺縁を持つ潰瘍で大陰唇に好発し、陰茎や小陰唇にも出現する。本症は、再発性口腔内アフタ性潰瘍、 皮膚症状(結節性紅斑様発疹、毛嚢炎様皮疹、皮下の血 栓性静脈炎)、外陰部潰瘍、眼症状(虹彩毛様体炎、網膜 ぶどう膜炎)を主徴とする疾患。  

接触皮膚炎
一次刺激性とアレルギー性機序によるものとがある。 生理用品などの衣料品、抗真菌薬などの医薬品、避妊用具、屎尿、手指を介して接触する物質などで生じ多くは境界明瞭な紅斑で、炎症が激しい場合はびらんを伴う。

外傷(器物など)
性交後に生じる裂傷、びらん。

このページの先頭へ